pistacchio’s blog

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【web記事和訳】Pabllo Vittar on Finding Success in Music as a Drag Artist(Billboard)

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パブロ・ヴィター(Pabllo Vittar)の3作目のアルバム「111」が2020年3月25日にリリースされました。それを受けてBillboardとGAYTIMESのサイトに掲載されたインタビュー記事を和訳しました。

 

まずはBillboardから。元の記事はこちら。

https://www.billboard.com/articles/news/pride/9350436/pabllo-vittar-new-album-111-interview?utm_medium=social&utm_source=twitter

 

 ブラジルのドラァグ・スーパースター、パブロ・ヴィターは英語もスペイン語も流暢ではないと話している。「時々、頭の中でそれらの言語がごちゃ混ぜになる。」彼女はメールでビルボードに語った。「でも勉強を続けていくし、発音を間違えたり、ミスしたりしても恥ずかしいとは思わない。人生で何かを学ぶとはそういう事だから。」

  英語、スペイン語、母国語のポルトガル語という3つの言語を使ったアルバムのリリース以上に、語学の学習を続ける良い方法があるだろうか?3枚目のスタジオアルバム『111』で、ヴィターは3つの言語だけでなく、スタイルやリズムも軽々と切り替えている。

  ヴィターは新しい音風景の探求が必要だったと言うが、それは一部の人が考えるような理由からではない。「私は業界やチャートのことは何も考えず、自分の心の中に生きている音楽やアートを作っている。」「だから複数のジャンルに専念して自分自身を向上させることが重要だ。それは音楽を普遍的に成長させてくれるし、異なるリファレンスをミックスして何か新しいものを作る時も同じことが起こる。」

 ビルボードは、彼女の新しいアルバム、タリアとの仕事、音楽におけるクィア表現、コロナウイルスパンデミックでどのように過ごしているかについてヴィターに話を聞いた。

  

―― 「111」を3か国語のアルバムとしてリリースすることにしたのは非常に興味深いです。ファンが慣れ親しんでいるポルトガル語に加えて、英語とスペイン語を取り入れようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

 

去年、初めてブラジル以外の国でツアーをしたけれど、その時にポルトガル語を話さないファンが大勢いることに驚いたんだ!ポルトガル語で私の歌を歌い、ポルトガル語を学んで私とコミュニケーションを取ろうとする彼らを見て感動した。だから私も彼らの言葉を学んで、彼らの言葉で歌い始めようと決心したんだ。まだまだ勉強中だけどね。私の英語とスペイン語は流暢ではないけれど、歌うことも、コミュニケーションをとることもできる。うまくいけば、今後もっと多くの言語を学ぶことができると思う。

 

 ―― まだマスターしていない2つの言語を取り入れるのは神経が疲れる作業だったのでは?

 

 不思議で楽しい経験だったよ!両方を同時に学んでいて、どちらも流暢ではないから、たまに頭の中で混乱してしまうこともあるけど、勉強は続けていくし、発音を間違えたり、ミスしても恥ずかしくない。人生で何かを学ぶとはそういうことでしょう?

 

 ―― 111の制作中に聴いていた曲で、あなたのインスピレーションになったものは何ですか?

 

いつも色々なジャンルの音楽を聴いている。ハウスミュージック、ブレーガ・ファンキ、テクノ、レゲトン、ブラジルの様々なリズムを聴いていたよ。いつもそれらをミックスするのが大好きなんだ。

 

―― 「Tímida」でタリアとチームを組むのはどうでしたか?

 

夢が叶った。 子供の頃テレノベラ(メロドラマ)で彼女をよく見ていて、女優としても歌手としても憧れていた。彼女はスーパースターだ。

 

―― このアルバムには、複数の言語だけでなく様々な音楽スタイルやジャンルが取り入れられています。今の時代、より多くのアーティストがジャンルに対してより流動的なアプローチをとるようになっていますが、ジャンルの重要性をどのように捉えていますか?

 

複数の言語を取り入れるのも、複数のジャンルを扱うのも、音楽の制作方法としてはどちらもアートだ!アーティストは自分の心の中にあることをしなければならない。私にとっては、それが何よりも重要だ!業界やチャートのことは一切考えず、自分の心の中に生きている音楽やアートを作っている。だから、複数のジャンルに専念することや自分自身を向上させることが重要だし、それが音楽を普遍的に成長させてくれる。異なるリファレンスをミックスして何か "新しい "ものを生み出すときも同じことが起こる。自分の心がそこにある限り、どんなことも有効なんだ。

 

―― ここ数年、あなたはドラァグ・アーティストとして音楽業界で成功を収める方法のモデルになっています。クィア・アーティストが主流として認められるという観点から、あなたの成功は、音楽業界全体においてどのような意味を持っていると思いますか?

 

業界は当然のように成長し、前進している。過去に正当な注目を得られなかった素晴らしいLGBTQ+アーティストが世界中にたくさんいる。総じて、私たちはホモフォビックな社会で生活しているが、私たちは自分たちのスペースを確保しているし、沈黙するつもりはない。

 

―― LGBTQアーティストに対する包摂性(多様性の受け入れ)を促進するために、音楽業界に必要なのは何だと思いますか?

 

難しい質問だね。今は何も思いつかないけど、権限を持つ人々は、目の前にいるアーティストの才能に投資し、受け入れ、信じるべきだと思う。ジェンダーセクシュアリティは問題ではない!今この瞬間にある才能だけが問題だ。そして、私たちには多くの才能がある!

 

―― 明らかに、ここ数週間はCOVID-19の蔓延で世界中に恐怖が満ちていました。あなたはクィア・アーティストとして、刻々と変わっていく状況からどのような影響を受けていますか?社会が一時停止している間、あなたは生活を維持するために何をしていますか?

 

私はこの時間を利用して、家族とのつながりを深めている。3年前から休みなくツアーをしているから、家族と一緒にいる時間はあまりなかったんだ。健康面と心のケアもしている。今はクィアだからといって特別な影響を受けているとは思っていない。世界中の全ての人と同じように影響を受けている。